社会福祉HERO’S

映画館で啓発活動!!社会福祉法人の新たな挑戦!!

社会福祉な「まいにち」

兵庫県 執筆者 ノリソン 2019.01.18

はじめまして!兵庫県明石市の児童発達支援センターで働いていますノリソンです。福祉の業界には15年以上お世話になっています。実は私、福祉の仕事に関わるまでは“超”がつくほど、障害のある方がたに対して差別的な人間でした。だって、急に大声を出したり、独り言を言ったり、意味不明な動きをする人がいたら怖くて遠ざかるのは当然でしょ!って、これがこの仕事に入る前の感覚。学生時代、将来の夢もなく、自慢できる武勇伝もない無気力人間が「福祉」という響きの良さだけで福祉系専門学校に入ったことが大きく人生を変えるきっかけになりました。卒業後、知的障害者入所授産施設(今でいう就労継続支援B型)に就職。そこで出会った障害のある方がたは私が学生時代に抱いていたイメージを根底から覆してくれる人びとでした。

(福祉の仕事に魅了された若かりし頃の筆者)

障害のある方として施設で就労支援を受けている方がたですが、私では根を上げてしまうような忍耐力のいる農作業に取り組んだり、陶芸や民芸作業ではセンスを活かし、芸術品を創作されたりする姿を毎日目の当たりにしました。自分の仕事に誇りを持って生きている人って健常とか障害とか関係なく、眩しかったんです!!

そして、皆さん感情表現は様ざまですが、すこぶる優しかった!

私が作業中に具合を悪くしたり、仕事を休んだりしようものなら、スーパースターになったかのように皆さんから体を労わる言葉をたくさん掛けていただいて、逆に休むほうが恥ずかしくなり、体調管理をしっかりするよう心がけるようになりました。

一緒に暮らし、一緒に働くことで学生時代、嫌悪感を抱いていた大声や独り言、意味不明な動きにはしっかりとした理由があったことを知りました。つまり自分の世界に没頭している状態であったり、心のなかで感情を抑えることが出来ずに外に向けて表出したりしているだけだったのです。

(クラウドファンディング達成を支えてくれている職場の仲間たち)

多様性を知り、受け入れることで障害のある方に対する差別や偏見といった気持ちは薄れ、障害って確かにその人の特性っていう部分もあるだろうけど環境が大きく影響するんだろうなぁって思います。
以前の私のような人間であったら自分と違う人、自分が理解できない人、得体の知れないものはすべて「障害者」だったからです。

「相手を理解すれば相手の立場になって考えることが出来て、行動することが出来る」
私みたいな社会にいる差別者を協力者、理解者に変えたい!!その思いから・・・

学生時代、将来の夢を見つけられなかった奴が「障害のあるなしに関わらず、すべての子どもたちが安心して暮らせる明石(しゃかい)にしたい」という、でっかい夢に向かって、まずは明石市にある唯一の映画館イオンシネマ明石で、障害のある子どもたちの理解促進に特化した啓発映像を上映することを決意!!来年公開予定の『アベンジャーズ4エンドゲーム』!!のシネアド上映(30秒4週間)を目標に12月1日から60日間FAAVO播磨というクラウドファンディングサイトから寄付金集めを開始しちゃったんです。

(クラウドファンディング用に作成したトップページ画像)

このプロジェクトをするもう1つのきっかけは、障害のある子どもやそのご家族が持つ悩みや課題は「発達障害」「自閉症」って専門書がたくさん出版されたり、テレビでも取り上げられたり、支援事業所が溢れかえったりしているけど、お母さんの悩みが無くなっているわけでなく、まだまだ遺伝やしつけなど明確な根拠のない周りからの偏見で苦しんでいて、今も身内にすら相談出来ず、孤立的な状態で育児をされているお母さんたちと仕事で出会うことが多く、その状況をなんとかしたかったから!

私たちは障害のある子どもや大人の方がたに、生活の質を向上させるため、個々に応じた支援を行う一方で、その人たちが住む地域に対して“障害理解”を意識した啓発活動を並行して取り組むことも必要だと思うんです。

でも、私を含め福祉業界の人間って啓発活動がとっても苦手で、イベントをしても結局、仲間内(当事者・家族・福祉関係者)か、福祉に興味を持っている人しか集まらず、一般の方がたには近寄りがたいオーラを醸し出していると思うんですよ。

いいことをしても知ってほしい人たちに、届かなければ意味がない!

だからこそ私たちは、一般の人たちがたくさん集まる映画って何??ってことで『アベンジャーズ4』を選んだんです。自分の好みはもちろんですが、前作がイオンシネマ明石で公開から1ヶ月間で約8,000人が鑑賞したことをイオンシネマのスタッフに教えてもらったから。

映画って大画面、大音量の特別な空間でしょ♪それに映画の前の予告って、みんな情報収集のためガッツリ見ているから啓発活動には“超”最適!!

啓発映像には明石に住む発達・視覚・聴覚に障害のある子どもたちが出演!
日常で見せる自然な様子のなかに音や感触などに過敏であったり、感情や体をうまくコントロール出来ないことであったり、また身体的な障害があることで生きづらさがあることなどをメッセージにして作成しました。

(プロのカメラマンによるシネアド用の啓発映像撮影中)

クラウドファンディング開始前、根回しが大事ってことで自分の知り合いに片っ端から今回のプロジェクトの趣旨を説明して協力を募ったところ、みんな、企画に“ど”ハマりしてくれて恐ろしいほどの拡散力を発揮し、1週間で目標金額の55万円が貯まっちゃいました。今は調子に乗って『名探偵コナン 紺青の拳』のシネアド上映めざして走り続けてますんでご協力お願いします!
https://faavo.jp/harima/project/3323

このプロジェクトを通じて、少しでも障害のある子どもに関わったことがない人に、明石に住む障害のある子どもたちの生きづらさやご家族が抱える悩みを知ってもらい、みんなが一緒になって「障害のあるなしに関わらず、すべての人々が安心して暮らせる明石(しゃかい)」をめざすきっかけになるように取り組みたいと思っています。

私が変われたように!思いやりのある社会をめざして!!

ノリソン
兵庫県社会福祉法人三田谷治療教育院

高等学校卒業後、将来の夢もなく福祉という響きの良さだけで3年制の福祉専門学校に入学。卒業後、やはり、やりたいことが見つけられず就職氷河期真っ只中、明確な志望動機を持たずになんとなく10社以上の就職面接に挑むがことごとく惨敗。藁をもすがる思いで当時一番嫌だった知的障害者に関わる入所授産施設に奇跡的に就職することが出来、「汚い」「気持ち悪い」「こわい」と知的障害者に対しイメージしていましたが、完全に苦手意識がなくなり、現在は、社会福祉は社会をデザイン出来るクリエイティブな仕事と感じながら従事している。

高等学校卒業後、将来の夢もなく福祉という響きの良さだけで3年制の福祉専門学校に入学。卒業後、やはり、やりたいことが見つけられず就職氷河期真っ只中、明確な志望動機を持たずになんとなく10社以上の就職面接に挑むがことごとく惨敗。藁をもすがる思いで当時一番嫌だった知的障害者に関わる入所授産施設に奇跡的に就職することが出来、「汚い」「気持ち悪い」「こわい」と知的障害者に対しイメージしていましたが、完全に苦手意識がなくなり、現在は、社会福祉は社会をデザイン出来るクリエイティブな仕事と感じながら従事している。

この記事をシェアする

一覧に戻る