介護士をしながら、 定額で住み放題サービスの家守(やもり)に!? 〜香川県・小豆島に福祉移住した、あみーごさんにインタビュー!
先輩・同僚インタビュー
聞き手 GO 2022.05.14
社会福祉ライターのGOです。私は瀬戸内海に浮かぶ香川県小豆島で福祉の仕事をしている、テニスが趣味の施設長です。私たちの施設のスタッフへのインタビューを通して、社会福祉と小豆島での暮らしについて皆さんに伝えていければいいなと思っています。
今回は神奈川県横浜市から移住したあみーごさんにお話を聞いてみることにしました。
GO:小豆島との出会いを教えてもらえますか。
あみーご:パートナーと全国を旅行していたとき小田原の図書館で「おいでよ小豆島」という本に出会いました。そのなかに70代の方からの情報で「小豆島は車がなくても生活できる」という内容が書かれていたんです。車の運転ができない私は、「あ、それなら地方で生活できるかも」という認識ができ、小豆島に行ってみようと思ったのがきっかけです。「ADDress」という定額で全国どこでも住み放題のサブスクサービスが小豆島にあったため、それを利用することを決めました。来てから最初に感じたのは、小豆島は気候がよいということと近くの土庄港の港周辺でのごま油の香りにインパクトがあったことです。
私たちカップルは、いつか移住したいと考えていて、私は長野のように山がある場所、パートナーは沖縄のように海がある場所を求めていました。そんな時、求めていた条件に合致したのが小豆島で、私たちの移住の有力候補になりました。
小豆島を二人で旅してみて、たくさんの出会いがありました。私たちが移住候補として小豆島に来ている話をTwitterでつぶやくと、地元の方がたがコメントをくれたり、地域おこし協力隊の方が本屋さんをするという情報が入って、その方に急遽会いに行ってみたり。観光中に予定になかったエンジェルロードについて地域の人が調べてくれて行くことになるなど。
地域の人たちが優しく接してくれたことが、思い出として記憶に残りました。そんな小豆島のウェルカムな雰囲気もあり、とんとん拍子で移住の話が進んでいきました。
GO:もともと移住する前は何をされていたのですか?
あみーご:神奈川県横浜市で、障がいがある子どもの支援や老人ホームでの仕事をしていました。施設は都市部にあって狭いため、子どもたちが、廊下で遊んだり、一日中タブレットを見ている状況に疑問を感じていました。そんな時、たまたま地方での福祉の様子がInstagramにアップされていて、自由に過ごしている様子がいいなって地方での福祉に憧れをもつようになりました。プライベートでも自然が多い環境の方がちょっとした時間に海に行ったり、自然を感じたりすることができるのではと考えていました。
GO:移住前と移住後で変わったこと(ギャップを感じたこと)はありますか。
あみーご:言葉の違いに違和感があり苦労した部分がありました。母親が岡山出身のため、岡山弁や関西弁に近いのかと思いましたが、小豆島は小豆島独自の方言で(よいという意味の)「ええよ」が「ええんよ」というように、文字の間に「ん」が入っていることで理解が難しいなと思うこともありました。
それと移住して4か月経過しましたが、パートナーの花粉症が改善されました。都市部の排気ガスが原因だったのではないかと考えています。
移住前に二人で、「横浜ではできないけど、小豆島だったらできること」を書き出してみました。
◉島ならではの自然で遊ぶこと(素敵な景色のなかでの介護など)
◉畑で野菜を作ること
◉魚を釣ること
◉ジビエを食べる(自分で獲物を狩る)こと
◉ご近所さんとおすそ分けし合うこと
◉無限の天然の資源(シーグラスやオリーブの木)でアクセサリーをつくること
小豆島での暮らしのなかでやりたいことに迷いが生じた際には「これって横浜でも出来るよね?だったらやめとく?」なんて自問自答してから決めています。
GO:小豆島での現在の仕事を教えてください。
あみーご:1つめは、社会福祉法人サンシャイン会のデイサービスでの仕事です。サンシャイン会は法人が大きく、小豆島中に施設がいくつもあるのですが、そのなかでも私が勤務する施設では、ご利用者がエリア内を自由に行き来しているように感じられます。私の出勤退勤の際に目にするのですが、ご利用者が本当にのんびり自由に散歩をしていたり、敷地内の落ち葉をご自身の意志で掃いていたり、ご利用者一人ひとりが自由に有意義に過ごされている印象があります。海や山がそばにあるので、施設の外にすぐに出かけられる環境はとてもよいと感じていて、理想通りの仕事ができています。
デイサービスで仕事中のあみーごさん
通勤時は自転車で、海沿いの道を
実は私にはもう一つ仕事があるんです。小豆島に初めて旅したときに利用した住み放題サービスADDressの「家守(やもり)」をしています。「家守」というのは、特定の家の管理人で、システム上の予約管理や環境管理、住民のリーダーとして家のなかの管理責任業務をするほかに、コミュニティ・マネージャーという役割も担ったりしています。コミュニティ・マネージャーとは、ADDressの会員と地域の人をつなげたりするなど、コミュニケーションの場を取りもつということもしています。会員さんに対して、地域のお店の紹介や地域のゴミ拾いイベントの開催をして地域との交流もはかったりしています。
管理している家の前にて
GO:小豆島のおすすめスポットを教えてください。
あみーご:おすすめするとしたらやっぱり、 いま、取材を受けているココ、サンシャインの前の海ですね(笑)仕事前にコーヒーを飲みながらひと息つくこともしています。
もうひとつあげるとしたら、樹齢千年のオリーヴ大樹です。ウッドデッキもあって過ごしやすい空間となっています。
樹齢千年のオリーヴ大樹の前ではカフェイベントも開催
GO:移住して発見したこと、気づいたことはありますか?
あみーご:移住してわかったことは他人に対して親切にして良いということです。移住前はそこまで他人にしなくてよくない?と。
アパレルで働いてた時もあるのですが、その時はよく過剰接客だよといわれることがありました。ほかのスタッフもしないといけなくなるから、といわれることもありました。でも小豆島では親切にすることが普通である環境だと感じます。
例えば、私が家の溝掃除をしようとした時、近くにある企業のスタッフや地域の自治会長が突然現れて一緒に溝をキレイにしてくれました。 親切を受けてもよいし、親切を人に対しても自然にできる環境だということがわかって、日々感動しています。おすそ分け文化もあって、自分が憧れていたことがここにはたくさんあるんです。
GO:プライベートでしていることはどんなことがありますか。
あみーご:小豆島の観光地はとても綺麗なのですが、人が少ないところにはゴミが結構落ちているので、ゴミ拾いをしています。いつかたくさんの人にも参加してもらえるようなゴミ拾いイベントをしたいと考えています。サンシャイン会の皆さんにも声をかけたいです。
あとは、SNSを活用して地域の情報収集をしています。SNSでも「互助」があると意識していて、子育て支援をしている人からの「クレヨンが欲しい」という要望を見て「サンシャイン会のデイサービスで使うのが難しくなった短い色鉛筆ではどうか?」と、その色鉛筆をあげるなど、そうした些細なやりとりも小豆島にきてからするようになりました。コロナ禍でリアルな繋がりが薄くなってしまった分、TwitterなどのSNSで繋がっていることはとても大切だなと感じます。小豆島出身の漫画家の大ヒット漫画『からかい上手の高木さん』が好きな人はみんなSNSで繋がっている感じです。ほかにも小豆島の友達や移住の先輩とも繋がったり、イベントのPRを発信したり、この島でSNSは、なくてはならない存在です。横浜にいた時よりもそれを感じます。
GO:今後チャレンジしたいこと、実現したいことを教えてください。
あみーご:私は読書が好きで、読むジャンルはビジネス書よりも小説やエッセイを読むことが多いです。「窓際のトットちゃん」を読んで福祉を学ぶことができました。そのような経験から読書が好きな人がゆっくりじっくり読めるように「寝転べる本屋」を小豆島につくりたいと考えています。障がいがある人や高齢者が休憩所として使えるようにもできないかなと思案しています。
観光地やブックカフェの休憩所は机と椅子があって寝ることも難しい雰囲気ですが、寝転べる本屋は寝ることを推奨する場所にします。イメージとしては銭湯の休憩所やリラクゼーションルームのような感じです。少し寝て回復したらまた読むというようなスタイルの居場所として、また、本を読むきっかけや地元の人と旅人をつなげるきっかけにもなるようなそんな場所をつくりたいです。
それを実現するためにも福祉関係者とつながって、いらなくなった本を集めたりすることを少しずつ活動できるように進めています
GO:福祉を考えている人や移住を考えている人に向けてのメッセージをお願いします。
あみーご:都市部で福祉の仕事(高齢、障がい、保育など)をしている人で実現できなかったことが、小豆島だったらできます。アイデアだけでもやってみたいことを言い続けると実現できます。
想いがあるのであれば、移住しなくても3ヶ月だけお試しで住んでみる感覚で来てみるといいと思います。自分のやりたい福祉ができると思うので。ぜひとも小豆島でお待ちしています。
インタビューを終えて
今回、福祉移住ということをテーマに取材してみて、いろんな発見がありました。自分たちの福祉には、「この島の豊かな環境」という強みがある! そしてその強みを活かした、よりよいサービスを提供したいと感じました。
あみーごさんが「互助」としてSNSを活用していたことにも、目から鱗(うろこ)が落ちる思いでした。自分自身もそういう視点でInstagramやTwitterを使っていきたいと感じました。
また福祉の仕事をしながら、ADDressというサービスの「家守」をしたり、やりたい仕事をバランスよく行い、仕事以外の時間でもいろんなチャレンジをされたりしている、その生き方が素晴らしいなと思いました。これから、あみーごさんのどんなチャレンジが行われるでしょうか。InstagramやTwitterをぜひのぞいてみてください
このインタビューの模様は、筆者の「ふくしGO YouTubeチャンネル」でも見ることができます。👇の画像をクリック!
GO
香川県サンシャイン会
瀬戸内海に浮かぶ、香川県小豆島。小豆島の福祉がよりよくなるために日々精進しております。
瀬戸内海の小さな島から皆様に興味をもってもらえるような社会福祉の情報発信をしていきたいと考えています。何事にも熱く、一生懸命取り組むことを考えていますので、熱い気持ちを伝えられるライターとして頑張ります。
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