社会福祉HERO’S

大学で学んだ心理学を、福祉の現場で活かしたかった
〜福祉ビギナーズ 精神保健福祉士2年目(もうすぐ3年目)ゆっちゃん インタビュー

先輩・同僚インタビュー

聞き手 エミリー 2021.10.07

みなさん、救護施設ってご存知ですか。身体や精神の障がいや、何らかの課題(生きづらさ)があることで、日常生活を営むことが困難な方たちが利用している福祉施設のこと。私はその救護施設「青垣園」に勤務しています。今回は同じ施設で働く、精神保健福祉士の資格をもつ、入職2年目のゆっちゃんにインタビューしました!

(聞き手 社会福祉ライター エミリー)

 

祉を仕事に選んだきっかけは?

ゆっちゃん:最初は心理学に興味があったので、大学は臨床心理学科に入りました。

大学で学んだ支援方法「TEACCHプログラム」などを実際に学べるのではないかと思い、アルバイト先として大学の近くにある自閉症の方がたの入所施設を選びました。

そこでは、発達心理などの授業で学んだ「視覚的構造化による支援」といってスケジュールを絵カードでつくることや、「物理的構造化による支援」といって作業部屋、リラックスするための部屋などをわかりやすく部屋分けするなどの支援が行われていました。

実際に活用されている現場を見て、「心理学で学んだことが、こんな風に活用されているんだ!」とか、「こういう方がたが支援の対象なんだ!」とか、深く理解できた気がして、とてもうれしかったんです!

それで「あ!福祉の現場もいいな!!」と、思うようになり、ご縁があって障害者支援施設と救護施設を経営するいまの社会福祉法人に入ることになりました。

精神保健福祉士の仕事って、まだあまり知られていないと思います。具体的にどのような仕事なのか、少し説明してもらえますか?

ゆっちゃん:精神保健福祉士は、地域の関係機関や専門職の方と連携して、クライエント(精神障がい者)の問題解決や社会復帰のお手伝いをする仕事です。

慣れましたか?

ゆっちゃん:まだ慣れていなくて。だけど、資格取得のために勉強したことに、仕事で実際に触れることができて面白さを感じています。業務上ではまだまだ失敗が多く、学ばせていただく場面が多いです。

例えば、どんな失敗があったの?

ゆっちゃん:例えば、伝え方、言い方です。言葉も伝え方を間違うと、めざす関係、信頼関係を築くのが難しくなるんです。

ご利用者とかかわるときに「いま、あんな風に言うべきじゃなかったな。こんな風に声をかけるべきだったな」と、反省するんです。かかわり方を反省する場面が多々あります。

大学で学んだことと実際の業務(学生のときに思っていたことと、リアルな現場)とのギャップはありましたか?

ゆっちゃん:ひとくちに“支援”といっても、ご利用者お一人おひとりに合った支援を検討する必要があるので、現場のシビアさを感じています。

例えば、私が勤務する救護施設のご利用者は施設入所までの経緯が全員まったく違います。一人として同じ支援をするご利用者がいらっしゃらない故の難しさ。本当に必要な配慮が多様なんです。そして、計画通りにいかないことが多いことです。「いろいろ経験を積まないと!」って思います。

いま感じている精神保健福祉士の醍醐味を教えてください。

ゆっちゃん:精神障がいがある方がたに専門的な知識をもとに支援することができるところに魅力を感じています。ほかの福祉職よりも実習などで精神障がいがある方がたとかかわることが多いので、ある程度の知識があってかかわることができるところだと思います。

また、ご利用者とかかわるときも傾聴、共感など当事者の方と話をするうえで大切なことを学びました。救護施設には障がいのある方、障がいのない方がいます。さまざまなご利用者がいらっしゃるので、かかわりに難しさを感じることもありますが、それが面白さでもあると思っています。それぞれのご利用者の“人となり”を知ることができて、「その方を少しでも知ることができた、近づけたような気持ち」になります。

ご利用者から「ありがとう」と言っていただけたときにやりがいを感じます。

精神保健福祉士は、精神科の病院だけではなく、介護施設や就労支援事業所など幅広い分野で求められつつあるので、今後ニーズが高まっていく専門職だと考えています。

ご自身の将来ビジョンを教えてください。そのために、今はどのようなことをしていますか?

ゆっちゃん:専門性をより高めて、さまざまな状況に対応できる支援者になりたいと考えています。それには、日々の業務を大切にして、学ぶところを常に探していきたいです!

祉の仕事のいいところって何ですか?

ゆっちゃん:さまざまな境遇の方がたの人生にかかわる仕事なので、責任の大きな仕事です。けれど、支援する私たちも人間的に成長することができる仕事だと考えています。

事が終わったあと、いま何が楽しみですか?何が好きですか?

ゆっちゃん:コロナ禍で外出ができないので、映画やドラマをアプリで見るのが好きです。洋画にはまっています。とくにはまってるのがMARVELのシリーズです!

ゆっちゃんは、精神障がいのあるご利用者にも冷静に対応できて、先輩の指導を真剣に聴いているまなざしはキリっとしています。普段のおとなしく控えめな笑顔とは対照的に仕事中はちょっぴりクールさが漂います。

ゆっちゃんは、大学の後輩が就職活動で訪問したときには、笑顔で後輩の話を聴き、ゆっくりと聞き取りやすい話し方で普段の業務について説明していました。その様子は支援者としてのていねいな仕事ぶりを感じさせてくれました。

後輩との会話のなかでゆっちゃんも就職活動のころを振り返り、「就職活動・卒業研究・学外実習の3つが落ち着いたと思ったら、大学の国家試験対策講座が試験直前まであって気が抜けない毎日だった。“大学4年生はとても忙しい時期。けれど一時のこと”」と、自分の経験をふまえて後輩を励ましている姿に、優しさと頼もしさを感じました。

オンラインで内定者フォローや就活生に説明するメンバーのゆっちゃん。これからの活躍がとても楽しみです!

エミリー
奈良県社会福祉法人青垣園

人材養成・管理栄養士・産業カウンセラー。社会福祉との出会いはデンマークでの授業。病院勤務を経て留学、一旦家庭に入り子育中に心理学を学ぶ。医療業界に復帰したが、縁あって2012年より現在の職場に管理栄養士として勤務し、2014年現職に異動となる。これまでの経験から、障がいがあるために身体や言葉などで表現できなくても、一人ひとりの心は動き思いがあると信じています。記事の中では、施設ご利用者が成長していく様子や人間性が磨かれ成長していく職員の様子を書きたいと思います。私が勤務している社会福祉法人はこちらです。https://www.aogakien.jp/

人材養成・管理栄養士・産業カウンセラー。社会福祉との出会いはデンマークでの授業。病院勤務を経て留学、一旦家庭に入り子育中に心理学を学ぶ。医療業界に復帰したが、縁あって2012年より現在の職場に管理栄養士として勤務し、2014年現職に異動となる。これまでの経験から、障がいがあるために身体や言葉などで表現できなくても、一人ひとりの心は動き思いがあると信じています。記事の中では、施設ご利用者が成長していく様子や人間性が磨かれ成長していく職員の様子を書きたいと思います。私が勤務している社会福祉法人はこちらです。https://www.aogakien.jp/

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