クルマ椅子でGO!いざ、ホノルルマラソンへ!パート①
社会福祉な「まいにち」
群馬県 執筆者 わたる@すてっぷ 2020.02.27
障害福祉サービスを提供する社会福祉法人すてっぷでは、ハンディがあっても「ふつうに働く!ふつうに暮らす!ふつうに楽しむ!」ことを実現するためにさまざまな活動を行っています。
とくに「ふつうに楽しむ」ことについては法人内のどの事業所でも力を入れていて、いろいろなところへ出かけて、いろいろなことをしています。
「働くこと」と「暮らすこと」の支援は国の制度にもあり、ハンディがあってもそれぞれ必要な支援(十分とは言えないまでも)を受けながら多くの人が行っていますが、「楽しむこと」については日本では制度での支援がないに等しいのが現状です。
福祉の先進国であるデンマーク、スウェーデンでは昼間就労系の施設で働いた障害者が夕方から夜にかけて「余暇活動支援センター(もちろん公費で運営されています!)」に集まり、それぞれの障害特性に応じた必要な支援を受け、さまざまな楽しい活動を仲間たちと行っています。
「遊びに税金を使うなんて!」と思う人もいるかもしれませんが、障害者は仕事や暮らしに支援が必要なのと同じように遊びにも支援が必要です。しかし、今の日本では働いている障害者の遊びのための制度はなく(移動支援くらい)、就労系の事業所などが出来る範囲で余暇支援をしていることがほとんだと思います。いずれは北欧のような余暇支援が制度化すればいいとは思いますが、制度ができるのを待ってなんていられません!
余暇の充実が仕事へのモチベーションアップにつながったり、ストレスの解消になるのは障害者も健常者も同じことです。誰もが「楽しむ」ために、働いて、暮らしていると言っても過言ではありません!
そんな「楽しむこと」に力を入れているすてっぷで、一昨年(2018年)初めて参加したホノルルマラソンのことを紹介します。
毎年すてっぷでは群馬県民マラソン(4km、10km)には参加していて、ハワイ旅行もこれまでに何度か行っていますが、ホノルルマラソンへの参加は初めてです。参加希望者を募ったところ、フルマラソンに1名、10kmマラソンに3名の希望者がありました。それぞれその距離を走るのは初めての人たちです。
参加者のなかで紅一点は車いすユーザーの山田さん。普段は社会就労センター「ぴいす」(就労継続支援B型)に通い、県立大学内の学生向け購買(売店)でレジの仕事をしています。
車いすインストラクター岡野氏から、「キャスター上げ(前輪を浮かして後輪だけでバランスを保つ方法)」の指導を受ける山田さん。このキャスター上げが一人で出来るようになると車いすでの活動範囲が飛躍的に広がる。
彼女が操るのは世界で最も優れた車いすメーカーPANTHERA社製(スェーデン)のPANTHER S3 SHORT(チタン製ハンドリム、クロモリ鋼フレーム)黒いフレームが超カッコいい軽量の車いすです!日常的に車いすを使っている山田さんですが、10kmを車いすで走ったことはありません。ホノルルマラソン完走に向けて、夏前からトレーニングを開始しました。
車いすのシーティングについては、サンサンすてっぷの今野社長と社会福祉法人すてっぷ鈴木隆子理事長(二人とも福祉の道具については超プロ級)が担当しました。
さらに株式会社766の代表取締役であり、車いすインストラクターの肩書を持つ岡野善記氏にすてっぷに来ていただいて、車いすテクニックセミナーを開催しました。マラソンに直接つながるテクニックばかりではありませんが、これまで知らなかったテクニックを指導してもらいました。
マラソン指導は日本を代表する市民ランナーの指導者山西哲郎先生(社会福祉法人すてっぷ評議員、群馬大学名誉教授、日本オリエンテーリング協会会長、元日本ランニング学会会長)にお願いしました。
さまざまな人の協力を得て、他のホノルルマラソン参加者と一緒に練習を開始しました。練習メニューは学生時代陸上部で長距離走で活躍した当法人のスタッフ、猪熊がそれぞれの参加者のレベルに合わせて作成しました。
山田さんは週5日の練習で、平日は通所時間中に走る時間を決めて、職場の大学内で自主練をし、二週間に一度は他の参加利用者と合同練習、月に二回程度山西先生からの指導を受けながら山西先生主催の陸上クラブで練習をしました。
走る距離と時間を少しずつのばし、出発前の最後の練習では一般道で7kmを2時間半かけて走りました。平日の自主練以外は、スタッフの奈良が山田さんの専属伴走者として、ずっと一緒に練習をしてきました。時には一緒に車いすで走ることもあり、辛い練習を乗り越えられたのも奈良の励ましと伴走があったからこそでした。
練習前に「がんばるぞー!」と気合を入れる奈良と山田さん
パート②へつづく
わたる@すてっぷ
群馬県社会福祉法人すてっぷ 社会就労センターぴいす施設長
14年勤務したIT会社を退職し、栃木の山奥でボランティア活動を2年した後、「良い人が働いていそう!」という理由で福祉(障害)に転職。現場で介護や支援技術を学び、50歳を前に社会福祉士に合格(同僚からは「奇跡が起きた!」と言われる)。「ふつうに働く、ふつに暮らす、ふつうに楽しむ!」を支援するためすてっぷ(s-step.com)で奮闘する毎日。カンフー(通背拳、秘宗拳)とガジェット(Apple信者)と車(JB64)と焚き火とうさまるとねこぺんを愛するオッサン。福祉の現場で起こる感動を伝えたくて参加!
社会福祉法人すてっぷ https://s-step.com
14年勤務したIT会社を退職し、栃木の山奥でボランティア活動を2年した後、「良い人が働いていそう!」という理由で福祉(障害)に転職。現場で介護や支援技術を学び、50歳を前に社会福祉士に合格(同僚からは「奇跡が起きた!」と言われる)。「ふつうに働く、ふつに暮らす、ふつうに楽しむ!」を支援するためすてっぷ(s-step.com)で奮闘する毎日。カンフー(通背拳、秘宗拳)とガジェット(Apple信者)と車(JB64)と焚き火とうさまるとねこぺんを愛するオッサン。福祉の現場で起こる感動を伝えたくて参加!
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