車椅子でGO!! 障害者のおでかけ日誌 Vo.1
社会福祉な「まいにち」
栃木県 執筆者 K・S 2019.05.24
皆さん初めまして、ライターのK・Sです。
突然ですが、皆さんにとって「外出」は、どんなイメージがありますか?近所のコンビニから遠出の旅行などいろいろな目的を持って出かけていると思います。
では、障害がある方たちの「外出」ってなると、イメージ出来る人ってどの位でしょうか?
街中で障害がある方たちをお見か掛けすることも増えてきています。
さて、私の勤める施設「光輝舎」は、栃木県の県東に位置する、陶器が有名な益子町にあります。もともとは身体障害者療護施設だったこともあり、利用者のほとんどが重度の身体障害者で、生活する為には、車椅子は必要不可欠です。
重度の身体障害者だから・・・施設入所者だから・・・出かけることなんて出来ない。じゃなくて、日常生活の当たり前を当たり前に・・・という思いから、開所当時(約20年前)から、支援の一つとして「外出」する機会を提供してきました。
例えば、近くのスーパーや衣料品店、お花見や果物狩り、焼き肉や寿司、ラーメン、居酒屋などの食事、大型のショッピングモール、そして、旅行(海外も行っちゃいます)。数えだしたらきりがないんですけど、改めて、皆、よく行ってるなぁ・・・って思います。
そこで、今回は、どのように「外出」を支援しているのかご紹介したいと思います。
まず、外出するにあたって、いきなり、「よし、○○に行こう!!」というわけではなく、担当者による、利用者アンケートの実施、ニーズの抽出、外出先の選定、参加の意思決定支援、外出先との調整、計画、実行、評価などなど、さまざまなプロセスをたどっていくわけです。
毎月前半と後半に外出先を決めて、隔週で男女に分かれて外出します。参加するかどうかはあくまで利用者の方がたの意思や決定に従います。なので、外出先によって、参加人数も変わります。どこでも参加したい方、買い物だけの方、食事だけの方など、利用者さんの目的もさまざまです。多い時は、30人以上の団体になることもあります。
では、実際に、外出でいちご狩りに行ったときのことについて触れたいと思います。
栃木県でいちごと言えば、やっぱり「とちおとめ」です。益子町の隣に位置する真岡市は、いちごが特産品で、いたるところでいちご狩りを楽しめます。今回は、井頭観光いちご園にお邪魔しました。
まず、いちご狩りの行き先や日程などについて、担当者と主任で打ち合わせをします。必要であれば下見や電話予約なども行います。
担当者(左)と主任(右)の打ち合わせの様子
計画を立て、当日を迎えます。外出は、施設の車両を使用します。
車両の一例です。身障系の施設なので、車両は充実しています。運転手も支援員が担います。必要であれば、大型免許の取得も法人がサポートします。
玄関に集合し、全体の日程などを説明した後、車両に乗り込みます。
今回行かせていただいたいちご園は、高設栽培をしていて、車椅子の利用者さん達の目の前にいちごがなっています。なので、利用者さん達も自分で選んで食べることが出来るので、実は、このいちご園は、かなりの好評で、ほぼ毎年訪れています。
皆さん、甘くて美味しいいちごを目指して、一生懸命です。
甘くて美味しいいちごを食べると、自然と笑顔が溢れます。
ある利用者さんから「やっぱり、とちおとめが一番美味しいね。」とのお言葉も頂き、皆さん満足して施設に戻りました。
そして、利用者さん達が通常の生活に戻られたら、必ず、報告、評価を行い、外出が終わります。
「外出」は、
「車椅子になったことで、出かけることを諦めていた。」
「また自分で買い物が出来るなんて思っていなかった。」
「外に出るなら、パジャマで過ごすのはおかしいから、洋服が欲しい。」
「自分でお金の管理をしたい。」
「次は違うものを食べよう。」
「また、出かけられるように、体調管理を意識しよう。」
「バスの座席に座りたいから、リハビリを頑張ろう。」
などなど、利用者の方がたは、外出での体験を通して、生活意欲が向上したり、新しい目標が出来たり、怪我をする前に出来ていたことがもう一度出来るようになったり、身だしなみに気を遣うようになったり・・・
更には、近所のスーパーが障害者用のトイレや休憩スペース、駐車スペースを設置してくれたり、商品棚を低くして、通路を広げたり、段差の解消をしてくれたり。別のお店でも職員や利用者のことを覚えて、声をかけてくれたり、少し動き辛そうにしていると、手伝ってくれたり。
予約の時に「光輝舎です。」と言うだけで、車椅子に配慮したスペースを用意してくれたり。出かけ続けたことで、地域にとっても障害や福祉の理解、啓発に繋がっているのかなぁっていうこともあります。
さてさて、何だか、職員達って大変そう・・・って思った方いますか?
そんなことはありませんよ。ある実習生が、外出の楽しさに魅せられて、そのまま職員になっちゃいました!って、こともあります。なかには、実習期間中に、施設の外での利用者の支援や様子をもっと知りたいと、施設の旅行にまで参加しちゃう強者までいます。
つまり、「外出」って、楽しいものなんです。楽しいから続くんです。そして、外出での楽しい思いは、利用者さん達にとっても、職員にとってもモチベーションに繋がっているんです。そんな楽しい「外出」、これからも続けていきたいと思います。
と、いうことで、長くなったので今回はこの辺で終わりたいと思います。それでは、次回の更新まで、さようなら~
K・S
栃木県社会福祉法人同愛会
障害者支援施設 光輝舎 相談支援専門員
福祉系の専門学校に在学中、社会福祉法人同愛会の光輝舎という施設で実習をさせていただきました。そして、さまざまな種別や法人、施設で体験をさせていただきましたが、就職を考えたとき、一番仕事へのやりがいや楽しみを感じたのが、今の職場です。同愛会光輝舎で働かせていただき、はや十数年。利用者のみなさんや先輩、同僚、後輩などに支えられて、あっという間に過ぎてしまった感じです。学生時代から目標にしていた社会福祉士も周りのサポートがあって無事に取得しました。現在は、相談支援専門員と生活支援員の兼務で、日々奮闘しています。施設での取組や出来事、働くスタッフの思いなどを通して、社会福祉の魅力をみなさんに届けられればと思っています。
福祉系の専門学校に在学中、社会福祉法人同愛会の光輝舎という施設で実習をさせていただきました。そして、さまざまな種別や法人、施設で体験をさせていただきましたが、就職を考えたとき、一番仕事へのやりがいや楽しみを感じたのが、今の職場です。同愛会光輝舎で働かせていただき、はや十数年。利用者のみなさんや先輩、同僚、後輩などに支えられて、あっという間に過ぎてしまった感じです。学生時代から目標にしていた社会福祉士も周りのサポートがあって無事に取得しました。現在は、相談支援専門員と生活支援員の兼務で、日々奮闘しています。施設での取組や出来事、働くスタッフの思いなどを通して、社会福祉の魅力をみなさんに届けられればと思っています。