こども園スタッフと老人ホームスタッフとの協働だからできた! ? “ごちゃまぜ”こども食堂から学んだこと
社会福祉な「まいにち」
大阪府 執筆者 chika 2019.03.15
ライターのchikaです。私は大阪府の認定こども園、放課後等デイサービス、老人ホームを運営している社会福祉法人で保育士として現場で働き、現在はその経験を生かして保育企画として現場の人たちが働きやすいようにマニュアルや仕組みづくりをしたり、地域の方がたの居場所づくりに携わったりしています。
今回は、施設のスタッフ、子どもたち、障がいのあるの方、老人ホームの利用者さんとがそれぞれの施設の枠を超え、縁を結んでいきたいという法人の取組の一つをご紹介したいと思います。
社会福祉法人には、さまざまな地域の課題解決が求められます。この地域には、両親が仕事で忙しく一人で夕飯をとるという「孤食」や放課後に家庭で1人で過ごしている子どもが多いといった問題がありました。そんな地域の課題を解決するために私の法人では、こども園と老人ホームのスタッフ合同で子ども食堂をはじめることにしました。
クリスマスケーキ作りではボランティアの方がたが大活躍!
一人っ子の家庭も増え、家ではなかなかできない遊びも増えてきました。でも、この食堂では人生ゲームやトランプなど人数が必要な遊びや、ボーリング、釣りゲームなどをスタッフたちと楽しんだり、老人ホームの利用者さんに将棋を教えてもらったりと遊びがどんどん広がっています。
老人ホームのスタッフが毎回子どもたちが楽しめる遊びを考えて準備しています。
利用者の方と将棋の勝負!やり方も少しずつ覚えてきました。
回を重ねていくと子どもたちも慣れ、ボーリングの球を壁に投げたり、大きな体でおんぶを求めるなどスタッフはヘトヘト。でも子どもたちはすごく楽しんでくれているので、どこまで注意したらいいのか、どこまで許すのか毎回議題に上がります。背景には、子どもたちは、普段なかなか親に甘えられる状況ではない、ということが考えられます。だからこそ子どもたちは、本気で向き合ってゲームをしてくれたり自分を見てくれるスタッフと遊ぶことが嬉しくてたまらなく、そのせいで感情を抑えることができなくなっているのかもしれません。そんな時、私たちは、子どもたちの気持ちを汲み取り、抱っこの代わりに、ギュッと抱きしめてあげるなど、改善を続けてきました。
老人ホームとこども園のスタッフが、力を合わせて子どもたちを楽しませています。
他にもどうしたら参加する子どもたちが楽しめるか遊びを見直し、年齢に合ったゲームを提案したり、食事も季節に合った食材を使ったり、子どもたちが喜ぶバイキング形式にしたりと工夫を凝らしました。
メニュー:半熟オムライス、ジューシーフライドチキン、里芋の揚げ物・おでん、ギョーザの皮ピザ、ベーコンとキャベツのコンソメスープ、手作りケーキ
ある日、「行けって言われたから来てん」といっていた子と登校時にすれ違いました。するとその子が、「また子ども食堂行くわな」と声をかけてくれました。嬉しい一言でした。子ども食堂についてアンケートを取ると普段「おもんない」が口癖の子が「また来たい」「楽しい」を5段階評価で5を付けてくれていて、子どもたちにとって、「そう思える居場所ができたんだな」とこれまた嬉しくなりました。
また、老人ホームの利用者さんも子どもたちと一緒にクッキングをしたりご飯を食べたり、お茶を入れるなど率先して配膳も手伝ってくれ、回を重ねるごとに生き生きした表情が見られるようになりました。いまではいろいろな世代が集まってご飯を食べる地域の人たちの憩いの場になっています。
昨年度からはじめた子ども食堂。私ははじめ食事に困っていないこの地域の子どもたちに「子ども食堂は必要なのかな?」と思っていましたが、今年度から本格的にスタッフとして参加するようになり、孤食の子が意外と多く、月1回でも大勢の人たちと食事ができることを楽しみにしている子どもたちがいることがわかりました。
また、老人ホームとこども園のスタッフが手を組み、普段子どもとかかわることのない老人ホームのスタッフが子どもたちと遊んだり、こども園のスタッフが老人ホームの利用者さんとかかわることで、地域のつながりが強くなってきたように思えます。子ども食堂以外の場所で会った時も子どもたちから声をかけてくれたり、こども園のスタッフが老人ホームの利用者さんと顔見知りになり、話をするようになったりと私が思っている以上に意味のあるものだったのだと思うようになりました。
普段は違う分野で働いている老人ホームとこども園のスタッフは、いままでは同じ法人なのにあまりかかわりがありませんでした。しかし、この子ども食堂を通して少しずつスタッフ同士のかかわり合いが増え、通常の業務でもかかわりをもったりと幅が広がってきています。
老人ホームやこども園や利用者さんだけではなく、スタッフ同士や地域の子どもたち、ボランティアの方がたともつながる子ども食堂。この子ども食堂を通してこの地域の方がたがどんどんつながっていくようこれからも頑張っていきたいと思います。
chika
大阪府社会福祉法人 桃林会 保育企画
小学生のときに子どもに携わる仕事がしたいと思い保育士になり、人と関わることの素晴らしさや自尊心を育てることを大切に保育してきました。現在は経験を活かし、先生たちのサポートや子育て支援、学童保育、採用、広報の担当をしています。
私の勤めている桃林会は認定こども園や放課後等デイサービス、老人ホームなど地域の方がたに密着した福祉事業を行っています。
地域にはいろいろな環境におかれた人たちがおり、どうしたら利用者さんが楽しめるかを日々考えながら働く私の周りのスタッフやイベントでの出来事などを発信していきたいと思います。
小学生のときに子どもに携わる仕事がしたいと思い保育士になり、人と関わることの素晴らしさや自尊心を育てることを大切に保育してきました。現在は経験を活かし、先生たちのサポートや子育て支援、学童保育、採用、広報の担当をしています。
私の勤めている桃林会は認定こども園や放課後等デイサービス、老人ホームなど地域の方がたに密着した福祉事業を行っています。
地域にはいろいろな環境におかれた人たちがおり、どうしたら利用者さんが楽しめるかを日々考えながら働く私の周りのスタッフやイベントでの出来事などを発信していきたいと思います。