失敗だらけの梅干づくり ~子どもの無限の可能性おうえん隊vol.1
社会福祉な「まいにち」
長野県 執筆者 なないろ園長 2019.01.11
こどもが架ける虹は、心の七色。なないろ園長です。
うちの年長さん、ある日私のもとにやってきて、大騒ぎ!!「えんちょうーせんせい。梅干買ってきてもいいですか?」よくよく聞いてみると、どうやら・・・親子でおにぎりクッキングすることになった。だけど、アレルギーの子もいるから話し合って、みんな同じ具がいいネってことに。だから梅干買ってきていい?って。18名の子どもたちが一斉に伝えるパワーに圧倒されちゃいます。「いいよ」といった瞬間「やったー!!」って。その奥で微笑む担任さん。そしていざ、近所のスーパーにお散歩です。真っ白いスーパーの袋を握り締めた子どもたちが凱旋します。あとでわかったんですが、一パックに数粒しか入っていない、紀州のホニャララみたいな・・・超がつく高級品。
それを使っていざ、親子でおにぎりづくり。できあがったばかりのおにぎりを、口いっぱいに頬張り、あちらこちらから「おいしー」の声があがります。(そりゃーおいしいよね~紀州のホニャララ!)
子どもたちのすごいところはココから。
子どもたち:梅干ってつくれる?
担任さん:うん。どうする?
子どもたち:やってみたいーーーつくる!!
なんともまぁ、すごいです子どもの発想って。
さらにその上をいくのは先生。ナント!つくり方を一切教えない。
「どうすれば、梅干ってできると思う?」子どもたちは悩みます。「そうだ図書館に行ってみよう!」どこかで聞いたフレーズ片手に、市立図書館にお散歩。絶対字なんて読めるはずないのに、本を片手に夢中になって見ていきます。近くにいる大人を捕まえては、「これなんて読むの?」“必要感”があるからどうしても読もうとするんです。梅干作りが年長さんのクラスで話題の中心になったためか、家の方にもインタビューしてくる子が出てきます。
「どうやらシソの葉を使うらしい」うーんとっても重要なアイテムGET。 さぁいよいよ、梅干作りスタートです。
私が見ていたお子さんは、ジップロックに梅干入れて、シソの葉っぱと水を入れまして。It’sシェイクタイム!!30分ほど振り続けて、泡だらけになった梅を取り出し、「たべて!」だって。(いやぁぁぁぁ)
となりの子は、テーブルの上に梅を置いて、シソの葉っぱをのせてジッと待つ・・・。(ウソでしょ!!)
それはそれは、すさまじい光景がクラスのあちらこちらで繰り広げられます。私たちから見れば「なんて微笑ましい」ですが、子どもたちは真剣そのもの。
だってうまくいかないから。
そこでも担任さん、「どうする?」って、子どもたちに聞きます。(すげぇな。まだ教えないんだ・・・)子どもたちはまた話し合い、どうしたらいいか・・・。その時、ある子が「おじいちゃんや、おばぁちゃんなら知ってるんじゃない?」
そうなんです。うちの園は介護施設と併設なので、いつも交流している皆さまがいたんです。子どもたちが介護施設の皆さまのところに行って、相談してみます。すると・・・
「梅は、へたを取ってからやるだよ。つまようじ持って来てみ」「シソはなぁ、一回煮出して、二度目のを使うといいだ」「砂糖じゃなくて、角砂糖を使うだよ。ほれ食え!!あめぇぞ♪」子どもたちの表情がみるみるうちに輝いていきます。こうして失敗だらけの梅干づくりは続いていくのでした・・・。
私たちは、失敗しないよう、失敗しないよう、子どもたちの先回りをしていることはないか?実は子どものためと言いつつ、その子の可能性を摘んでしまっているってことはないのか?失敗したらやり直せばいい。安心して失敗ができるって、すばらしいことだって思える子になって欲しい。
保育の仕事のやりがいって、こんな時に感じるのかもしれません。環境を通して、子どもの可能性を広げる、主体性を育てる保育のあり方・・・よく聞きます。かかわるスタッフは、実に根気がいるし、どのタイミングでどこまでサポートするのか?この見極め、これこそが教育・保育に携わる専門性であり、人が人とつながりあって成長できる、ソーシャルグッドな姿、子どもたちにかかわる仕事のやりがいだと思っています。できるようにするのが、保育じゃない。心育てるソーシャルグッドなお仕事なんです。
私は、この正解を教えないスタッフに、いまもとっても感謝しています。
なないろ園長
長野県社会福祉法人サン・ビジョン
幼保連携型認定こども園サン・サンこども園
一人ひとりの子どもが未来の空にかける虹は七色! なないろ園長です。そんな無限の可能性を広げていく子どもたちを、いつも応援するスタッフのすごさを伝えたくって、ライターに参加しました。
うちの法人は介護事業もやってて、こども園と併設されているところもあります。勤務させていただいているサン・サンこども園もグレイスフル塩尻の中にあり、利用者の皆様と交流もたくさん。最近法人が運営しているサンサンワイナリーにも関わらせていただいて、趣味がワイナリーめぐりになりました。信州にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
一人ひとりの子どもが未来の空にかける虹は七色! なないろ園長です。そんな無限の可能性を広げていく子どもたちを、いつも応援するスタッフのすごさを伝えたくって、ライターに参加しました。
うちの法人は介護事業もやってて、こども園と併設されているところもあります。勤務させていただいているサン・サンこども園もグレイスフル塩尻の中にあり、利用者の皆様と交流もたくさん。最近法人が運営しているサンサンワイナリーにも関わらせていただいて、趣味がワイナリーめぐりになりました。信州にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。