元高校球児の一福入魂!救護施設ソーシャルワーカーが行く!②障がい者の一人暮らしを実現するための「居宅訓練」とは?
社会福祉な「まいにち」
茨城県 執筆者 よこすか 2020.02.14
私は救護施設という施設で生活相談員をしています。施設には生活保護を受給しているさまざまな利用者が自立生活をめざし生活しています。
今回は私が勤務する救護施設「ナザレ園」を退所し、地域での一人暮らしをするための「居宅生活訓練」について紹介します。
「居宅生活訓練」は施設で借りたアパートに1人で住んで「仮想一人暮らし」をします。そのなかで職員が定期的に訪問し利用者の出来ることと出来ないことを把握し、一人暮らしに必要なスキルを身につけてもらいます。
精神、知的、身体などさまざまな障害がある利用者が訓練を行うため、訓練中にたくさんの驚きがあります。スムーズに地域での一人暮らしに移行できる利用者は少ない現状とともに、今回は自分が関わってきたなかで印象に残っていることをいくつか紹介したいと思います。
居宅訓練を行って、何か月かたったある日のこと、利用者からトイレットペーパーの購入を一緒にしてほしいという連絡がありました。先日も買ったと言っていたのにずいぶんと減りが早いなと疑問に思いつつスーパーに行き様子を見ていると、なんとトイレットペーパーではなくキッチンペーパーを購入しようとしていました!!
慌てて話を聞くと、いつもこれを買っているとのこと。もう一度一緒にトイレットペーパーを選び、今後は同じものを買うよう支援しました。
2ロールしか入ってないキッチンペーパーでは、減りが早いのは当然。トイレがよくつまらなかったと驚きました。
またこんなこともありました。別の利用者さんの押入れを開けると、トイレットペーパーの芯がたくさん出てきました。本人に話を聞くと大家さんに「芯は捨ててはいけない」と言われた、どうすれば良いか困っていたんだとのこと。
大家さんに確認するともちろんそんなことは言っておらず本人の勘違いでした。押入れを開けて1年分の大量の芯が出てきたときにはとても驚きました。
まだまだある話の中から2つほど紹介しましたが、この2人はその後、
生活保護を受給しながら、自分が生まれ育った地域での一人暮らしという夢を叶え、2年以上、在宅で落ち着いた暮らしをされています!
「居宅生活訓練」で大切な事は、
①訓練を行う利用者が、何ができ、何ができないのか
②何がわかるのか、何がわからないのか
③一人暮らしをどんな生活だと考えているのか
以上の三つのポイントを職員と共に連携しながら把握すること。そして利用者が失敗しない様に訓練するのではなく、失敗したとしてもフォローし、次は成功するように利用者のペースに寄り添い訓練を進めることです。そのような支援ができて、はじめて1人暮らしに繋げることができるのです。
利用者の障害の状況で「あの人はここまでしかできないだろう」と決めつけることはせず、実際にいろいろとチャレンジすることで、職員の想像を超える利用者本来の力を引き出し伸ばすことができます!!
最初は絶対一人暮らしをすることは無理なのでは?と思うような方でも、訓練を重ねることで一人暮らしを行うスキルを身につけることができます。そんな利用者が一人暮らしをはじめるためにナザレ園を笑顔で退所していく時が、我われ職員にとって何よりもうれしい瞬間です。
ちょっぴり寂しくもあるのですが。
救護施設に来て5年以上たつ現在も、日々驚くことがおき、新鮮な気持ちで支援に当たっています!!
水族館でドクターフィッシュを知らない利用者の手を水槽に入れて驚かせようとしている写真
結果はとくに嫌がりもせず、とくに喜びもせず不発でした。
救護施設からの連載は、つづく。
よこすか
茨城県社会福祉法人ナザレ園 救護施設ナザレ園 生活相談員
福祉の大学に進学し、その後社会福祉法人ナザレ園に就職し、現在は救護施設ナザレ園で生活相談員をしています。なんとなく進学し、流れのままに就職したのですが、現在はこの仕事は自分に合っていたんじゃないかなと思っています。なんとなく生きてきて、まだまだ20代前半のような気持でいた自分も、結婚して子供が二人生まれ、来年には30歳になります。
今後は利用者と自分の家族の為になんとなくではなく、しっかりと働いていきたいと思います。
法人Facebook https://www.facebook.com/NazareSocialWork/
福祉の大学に進学し、その後社会福祉法人ナザレ園に就職し、現在は救護施設ナザレ園で生活相談員をしています。なんとなく進学し、流れのままに就職したのですが、現在はこの仕事は自分に合っていたんじゃないかなと思っています。なんとなく生きてきて、まだまだ20代前半のような気持でいた自分も、結婚して子供が二人生まれ、来年には30歳になります。
今後は利用者と自分の家族の為になんとなくではなく、しっかりと働いていきたいと思います。
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