社会福祉ライターズが選んだ福祉系学生に 読んでほしい「おすすめ本・漫画3選」
社会福祉な「まいにち」
編集部 2020.10.16
このたび本サイトの社会福祉ライター20名に、今、ソーシャルグッドな学生に見てほしいおすすめの本・漫画をたずねるアンケートを実施しました。その結果が以下の通りです。社会福祉ライターズの皆さんからのコメントと共に発表します。
①「光とともに・・・~自閉症児を抱えて~」
著者:戸部けいこ 秋田書店
他者とのコミュニケーションが難しい自閉症児の困難な育児を描いた実話をベースにした漫画です。保育士2年目の時、本屋で何となく手に取った本ですが、読むうちに障がいがあるお子さんをもつ保護者の苦難や葛藤、周囲のかかわり方に引き込まれていきました。実際に自閉症のお子さんを担任した時も、その子にとってよい環境を考えて保育していましたが、現状は難しく、その度にこの本を読み返し、参考にしていました。
読むたびに、障がいがあるお子さんだけではなく、一人ひとりにとって、何が必要とされ、求められているのか、よい環境とは何かを考えさせてくれる本です。(社会福祉ライター chika)
入職して4年を迎え、行き詰まりを感じていた時、そんな私を見かねた先輩職員が「グジグジしないで、コレを読みなさいっ!(怒)」と勧めてくれたのがこの本でした。登場人物「光」のまっすぐな生き方と彼を支える人たちの心が、今の仕事に重なりました。
私たちの想いは、「周りの人たちをケアし(癒し)、いつの間にか自分までもケア(癒)されている」。私はそんな福祉の魅力に惹きつけられ、今も続けているんだと思います。
福祉を志す学生もそうでない人も、ぜひ読んでほしい作品です。(社会福祉ライター Café45)
中学生の頃、連続テレビドラマで見ました。私の同級生にも特別学級に通う男の子や、見た目や勉強が苦手なことから周囲の子どもたちに差別的な扱いをされている子がいて、差別する側にはなりたくないと思っていました。その頃は、ただ見ていて子役の演技が上手いことや、話の続きが気になって見ていた感じですが、今でも記憶に残るドラマの一つになっていて、何度も「もう一度見たい」と思う瞬間がありました。保育や療育の勉強をしていた学生時代・障害児に関わる職についてからもです。
今思えば、このドラマの後、職場体験で行った保育園にダウン症の子がいて、もっと障害児のことを知りたいと思って施設のボランティアにも行くようになりました。私が福祉の職に就くきっかけになったドラマだと思います。漫画も読んでみたいです。(社会福祉ライター みちせんせい)
②「ペコロスの母に会いに行く」
著者:岡野雄一 西日本新聞社
グループホームで穏やかに過ごしている認知症の母親と、息子である作者が、家族の思い出と日々の母とのエピソードを綴る4コマ漫画とエッセイからなる一冊です。
きっかけは、作者・岡野雄一さんの講演。講演といっても話だけでなく弾き語りもあり楽しい時間でした。その後、本を手に取ってみると、老人ホームで働く私たちが日々接するようなエピソードが満載で、楽しく、おかしく、和やかな気持ちになる漫画でした。
作者の「忘れることは、悪いことばかりじゃない」という言葉は、認知症の方にかかわる者として改めて深く共感しました。自宅で日々家族の介護に追われて少しお疲れ気味の方にも、そして福祉職を目指す学生にも目を通してほしい1冊です。(社会福祉ライター ハマちゃん)
③「ぼくとアナン」 著者:梓河人 講談社
猫のバケツがクリスマスにホームレスのナガレさんに拾われ、そして人間の赤ちゃんアナンと共に旅をしながら暮らしていくお話です。登場する全ての人々の人生がグッと胸を締め付けます。幸せのかたち、本当の優しさ、孤独とは何か、福祉において大切なエッセンスを感じました。私は福祉とはその人の幸せの道しるべを共につくる手伝いをすることだと思っています、まさにそれを感じる作品です。
この本は電車で読むと号泣して恥ずかしい思いをしますので、家でゆっくり読むことを推奨します!(社会福祉ライター さにー)
3選以外にも、社会福祉ライターのみなさんが選んだおすすめの本や漫画がありますので、一挙にご紹介します。
★★本★★
・介護の誇り (菊地雅洋/日総研)
・わかりあえないことから─コミュニケーション能力とは何か(平田オリザ/講談社現代新書)
・山の学園はワイナリー(川田昇/テレビ朝日事業局出版部)
・自閉症感覚 かくれた能力を引きだす方法(テンプル・グランディン/日本放送出版協会)
・食えなんだら食うな (関大徹/ごま書房新社)
・獄窓記 (著者:山本譲司/ポプラ社)
・「ホーホー」の詩、それからー知の育て方― (信田敏宏/出窓社 )
・見えない違い 私はアスペルガー (ジュリー・ダシェ/花伝社)
・銀河鉄道の夜 (宮沢賢治/新潮文庫)
・兎の目 (灰谷健次郎/角川文庫)
・こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち(渡辺一史/文春文庫)
・老いの才覚 (曽野綾子/ベストセラーズ )
・居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書(東畑開人/医学書院)
・されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間 (鈴木大介/講談社)
★★漫画★★
・ヘルプマン! (くさか里樹/講談社)
・自閉症くんのトテトテ小学生生活 (moro/竹書房)
・ちいさいひと 青葉児童相談所物語 (夾竹桃ジン/小学館)
・死役所 (あずみきし/新潮社)
・健康で文化的な最低限度の生活 (柏木ハルコ/小学館)
また、番外編として、本や漫画ではありませんが、社会福祉ライター山ちゃんが、SNSで読める作品を紹介してくれました。
「介護と介護とウツと猫/がぁさん」
本にはなっておらず、創作発表SNSであるpixivにて無料で読める作品。
家族によるリアルな介護の話です。介護制度に関する部分も説明があり、わかりやすいです。
いかがでしたか。
社会福祉ライターの皆さんが現場の仕事をするうえで、これらの作品がとても大切なきっかけをつくったり、心の支えになっています。学生さんの皆さん、気になる作品、まだ読んだことがない作品がありましたら、ぜひ、機会を見つけて読んでみてくださいね。