社会福祉HERO’S

クルマ椅子でGO!いざ、ホノルルマラソンへ!パート②

社会福祉な「まいにち」

群馬県 執筆者 わたる@すてっぷ 2020.03.06

いよいよハワイ・ホノルルへ。

12/6現地入り、山田さんは3度目のハワイで、空港や飛行機内は慣れたものです(ちなみに奈良は人生初の海外旅行!)。ただこれまでの観光旅行とは異なり、町はホノルルマラソンムードにあふれ、ついにやって来たなという感じです!

現地の練習では雨が降ることもあり(この時期のハワイは雨季で、雨に濡れるとやはり寒かったりしました)本番の天気が心配されました。

当日は山西先生からのアドバイスに従って深夜2時(!)起床で準備を行い、3時にホテルを出発しました。

出発前には日本にいる理事長たちとビデオ通話をして応援のメッセージをもらいました。

「ぴいす」の仲間からもらった寄せ書きの応援旗を広げて気合注入!

スタート場所(アラモアナ公園)近くまではバスで移動します。辺りはまだ真っ暗ですが、もの凄い人の数です。

ホノルルマラソンはスタートラインに近いところからフルマラソン参加者、10Kラン&ウォーク参加者の順で並び、さらにそれぞれが完走予想タイム順に並びます。我われは3時間以上の一番時間のかかる予想タイムで申請したので、スタートラインのかなり後ろに並びました。

カウントダウンの後、5時ジャストにスタート!同時に花火が上がりました!

ゆっくり動き始めましたが、花火を写真に撮る人もいてなかなか進みません。スタートゲートを通ったのはスタートしてから15分くらい経ってから、ここから山田さんの10kmが始まります!

しばらく走ると人もバラけてきて、広い道路の真ん中を気持ちよく走ります。山田さんもテンションが高く、練習の時よりかなり早いペースで走りだしました。心配になって「ペースが随分速いけど大丈夫?」と声をかけるくらいでした。

1時間位走ると沿道の応援の人もいなくなり、一緒に走るランナーも周りにはほとんどいなくなりました。どうやら我われ(山田さん、スタッフ奈良、新井)が最後尾のようでした。

まだ暗いホノルルの街並みを三人で走りました。周りに人がいた時にはコースの心配はありませんでしたが、自分たちだけになるとコースが合っているのかもわからず、心配になってコースからそれていないか、iPhoneで地図を見ながら確認をして走り続けました。

そうこうするうちにパトカーが寄ってきて、僕らに話しかけてきました。英語なのでよくはわかりませんでしたが、「マラソンのための交通規制を解除する時間になったので、歩道を走って」と言っているようでした。歩道は交差点で車道との段差があったり、石畳やレンガのようなところもあって車いすで走るのはなかなか大変でした。

だんだん明るくなってきた頃に最初のエイドステーション(3kmちょっと走った辺り)に到着し、給水しました。そのエイドステーションももう片付ける準備を始めていて、この先のエイドステーションはもうないだろうなという感じでした。エイドステーションの人たちに見送られながらちょっと元気を取り戻し再スタート。

自分たち以外にほかのランナーもいなくて、沿道の声援もない歩道をただ黙々と走るのは想像していた賑やかなホノルルマラソンとは随分違って寂しさも感じるくらい。

まぶしい朝日を正面に浴びながら黙々と車いすを漕ぐ山田さん。

半分くらい走ったころには疲れも出てきて、時間も距離も凄く長く感じられました。

アラモアナショッピングセンターを越えて、カラカウアアベニューに出るころには日差しが強く疲れも相当でした。

ゴールまで残りは数kmですが、まだ遥か彼方に感じます。この頃になるとゴールをして帰るランナーとすれ違い出しました。みんな首からメダルを下げていました。

予想通り、すでにエイドステーションはなく、心配した坂柳理事が飲み物を持って途中まで迎えに来てくれました(坂柳理事も10kmの伴走をしたあとで、ゴールから来てくれました)

木陰で飲み物とチョコレートをとり、小休止のあと再スタート!ワイキキのメインストリートであるカラカウア大通りはいつものようにたくさんの人で大賑わいです。

容赦なく照り付けるハワイの日差し、何もしていなくても体力を消耗してしまうような暑さ、凄い人通りのなかを黙々と車いすを漕ぐ山田さん。疲れもピークで速度は出ません。気力も体力もいっぱいいっぱいだったと思います。

そこへ前方から「すてっぷ」の応援チームが!

「すてっぷ」の仲間から熱い声援をもらって山田さんの気力復活!車いすを漕ぐ手に力が蘇りました!ゴールはもうすぐそこのはず!

カピラオニ公園の10Kラン&ウォーク専用のゴールゲートをめざしますが、なかなか見つかりません(フルマラソンの人は走っていましたが、フルマラソンと10kmとはゴールが別なのもあってわかりずらかったのです)。

そしてとうとう10K FINISHの文字を見つけてゴール!!

両手を高く上げる山田さん

普段はあまり感情を顔に表さない山田さんのなんとも嬉しそうな達成感のある表情。たくさんの人の応援と「参加するからには完走したい」と最後まであきらめなかった山田さんの強い意思で勝ち取ったゴールです。

記録は5時間1415

完走おめでとう!山田さん

山田さんと奈良は所属事業所が違うので、何かを一緒にするのは初めてのことでした(お互い顔は知ってはいたでしょうが)。最初は遠慮がちだった二人の関係は、厳しい練習を共にし、旅行の準備会(旅行のための勉強会)を重ねる毎にどんどん打ち解けていきました。

入職三年目の奈良にとって「ホノルルマラソンに出場するからには完走したい」と言う山田さんの願いを叶えるというような支援は初めての経験でした。

奈良は山田さんとのマラソン練習のほかに仕事が終わった後に、スポーツジムに通って体力づくりをしたり、利用者さんが旅行を楽しめるようにハワイのことをいろいろ調べて資料をつくったり、通常勤務をこなしながらホノルルマラソン、ハワイ旅行のために大変な努力をしてきました。

このような山田さん達の願いを叶える支援をしたことで、今回奈良が大きく成長したことが確かに感じられました。

「10km完走して、良い経験になりました」と言葉少なに語る山田さんですが、たくさんの人からサポートを受け、苦しい練習を積み重ね、自分の力で10kmを走り切ったことは、今後の彼女の人生のなかで大きな自信となるでしょう。今回のチャレンジでたくさんの人と関り、繋がりができました。

これまで障害のある人と関わったことのない人もいて、そういう人たちに「障害があっても自分たちと同じように人生を生きているんだな」ということが感じられたと思います。

これからも「すてっぷ」の理念を実践することでnormalization(ノーマリゼーション)の世のなかをつくっていきます。

わたる@すてっぷ
群馬県社会福祉法人すてっぷ 社会就労センターぴいす施設長

14年勤務したIT会社を退職し、栃木の山奥でボランティア活動を2年した後、「良い人が働いていそう!」という理由で福祉(障害)に転職。現場で介護や支援技術を学び、50歳を前に社会福祉士に合格(同僚からは「奇跡が起きた!」と言われる)。「ふつうに働く、ふつに暮らす、ふつうに楽しむ!」を支援するためすてっぷ(s-step.com)で奮闘する毎日。カンフー(通背拳、秘宗拳)とガジェット(Apple信者)と車(JB64)と焚き火とうさまるとねこぺんを愛するオッサン。福祉の現場で起こる感動を伝えたくて参加!
社会福祉法人すてっぷ https://s-step.com

14年勤務したIT会社を退職し、栃木の山奥でボランティア活動を2年した後、「良い人が働いていそう!」という理由で福祉(障害)に転職。現場で介護や支援技術を学び、50歳を前に社会福祉士に合格(同僚からは「奇跡が起きた!」と言われる)。「ふつうに働く、ふつに暮らす、ふつうに楽しむ!」を支援するためすてっぷ(s-step.com)で奮闘する毎日。カンフー(通背拳、秘宗拳)とガジェット(Apple信者)と車(JB64)と焚き火とうさまるとねこぺんを愛するオッサン。福祉の現場で起こる感動を伝えたくて参加!
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